神社の屋根に自分の名前が残る?銅板の奉納

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投稿者:ものしり博士


銅葺き屋根の神社は屋根の定期的な補修が必要です。そのときに氏子やその神社を崇敬している人の行えることが「銅板の奉公」です。


今回は神社の屋根の形によるちょっとした知識と、一緒に「銅板の奉公」についてお伝えします。


神社の建物

神道の歴史は古く、縄文時代から信仰の原型がつくられたといわれます。その頃の神道は、巨木や巨岩などを神の依り代としてお祀りをしていたようです。


三重県熊野市にある「花の窟(はなのいわや)神社」は巨石がご神体です。日本書紀に花の窟神社は日本最古の神社と記されています。

有名な京都の貴船神社にも「相生の大杉」というご神木があります。

左:花の窟神社の巨石 右:相生の大杉


このように日本人の神社信仰の原型は自然崇拝からはじまりました。とくに巨大なものは神の依り代として、信仰の対象になりました。奈良県の大宮神社は三輪山という山自体をご神体として、今に伝えています。


さて、神社が今のような建築になったのは仏教伝来の影響があります。自然崇拝の信仰のスタイルから仏教建築を意識した神社の建物が建築されるようになりました。


次からは神社の建物についてみていきましょう。

神社の建物の種類

神社の建物は主に「本殿」「拝殿」に分けられます。


本殿は、ご神体を安置する社殿のことです。普通は神職しか入ることがないので、狭いつくりになっています。


拝殿は、昇殿して神職から祈祷を受ける場所です。神社参拝をしたときに、柏手(かしわで)を打つ場所はこの拝殿の前です。

神社建築の様式

神社建築の様式は、大きくふたつに分けられます。高床式の穀倉から発展した「神明造」。古代の住居の形から発展した「大社造」です。


神明造は伊勢神宮が典型的です。大社造は出雲大社に使われています。


・神明造

https://ja.wikipedia.org/wiki/神明造#/media/ファイル:Izawa-no-miya_07.jpg

参考画像はウィキペディアをご覧ください


・大社造

https://ja.wikipedia.org/wiki/大社造#/media/ファイル:Izumo-taisha_121538651_f69f257ed0_o.jpg

参考画像はウィキペディアをご覧ください


神社の屋根材

神社の屋根も古来の住宅と同じく、「カヤ葺き屋根」でした。それが時代とともに「檜皮(ひわだ)葺き屋根」「銅板屋根」「金属屋根」「瓦屋根」と変化していきました。


カヤ葺き屋根」は、木材の骨組みを作り、その上から土やカヤなどの植物で屋根を作っていきます。伊勢神宮ではカヤ葺き屋根です。


伊勢神宮は式年遷宮で、20年ごとに社殿をすべて建て替えています。そのときに必要になるカヤは約2万3000束。このカヤは伊勢神宮所有の「川口御萱地(かわぐちおんかやち)」で作られています。

檜皮葺き屋根

出雲大社でも使われています。檜皮葺も古くから使われている工法です。


檜皮とは樹齢70年以上ある檜(ひのき)の立ち木から向いた皮です。この檜皮を屋根にすき間なく重ねるように敷き詰めます。出雲大社では檜皮を竹の釘で固定。檜皮の重なる部分が多くなるため、一番厚い場所では20cmにもなります。


出雲大社も伊勢神宮と同じように遷宮します。最近では2016年に「平成の大遷宮」が行われました。出雲大社は約60年を周期に遷宮が行われています。


伊勢神宮と違うところは、まず神様に仮の本殿にお移りいただく神事が行われ、その後に神様のいなくなった本殿を改修するところです。本殿を建て替えているわけではないのです。


建て替えをする伊勢神宮は国宝になりませんが、建物を改修する出雲大社が国宝の指定を受けられるのはこんなところから来ています。


出雲大社の遷宮に使う檜皮や木材も膨大な量です。60年後に檜皮を採取するには、植林後100年経った檜の木が必要です。膨大な時間と手間をかけて、出雲大社を維持されていることがわかります。


伊勢神宮や出雲大社が定期的に遷宮する理由の一つに、職人の技を伝えることがあります。60年の遷宮であれば準備期間を含めて、次の世代の職人に技が伝承されていくというわけです。

銅板屋根

記録の上では795年奈良の西大寺で使われていたそうです。しかし、銅を薄くのばすことが難しく、普及しはじめたのは江戸時代頃から。今では多くの神社で使われています。


銅板屋根を取り付けたときは、赤褐色の銅の色ですが、経年により緑青色に変色していきます。この色の変化自体は、銅板屋根の劣化を示すものではありません。

金属屋根

鉄道の普及とともに増えました。それまでカヤ葺き屋根だった家も、SLから出る火の粉から、火事を防止するために、金属屋根に変えていったという経緯があります。

瓦屋根

今日、住宅でも多く使われるのでなじみ深いものです。しかし、日本の伝統というよりも、中国から伝わってきたものです。その当時の瓦は重量がありました。


銅板屋根の神社が多い理由は、カヤ葺き屋根や檜皮葺き屋根に比較して耐久性があり、瓦屋根に比べて軽量であること。また、銅板は加工が容易であることからです。

 


銅板の奉納

2020年に明治神宮鎮座百年記念事業が行われたことは記憶に新しいのではないでしょうか?この事業のなかで社殿群の改修工事があり、銅板屋根の葺き替えがありました。


この際に「銅板の奉納」が行われました。「銅板の奉納」は社殿の銅板屋根の葺き替えにあたり、銅板を奉納するというものです。明治神宮鎮座百年記念事業のときは、奉賛金額1枚3,000円でした。その際に、銅板に名前や願い事が書けました


屋根材ですので、長期間風雨にさらされると劣化が進んでいきます。定期的な補修は社殿を長く使うために必要なことです。


銅板の奉納は多くの神社で行われています。長く使われる銅板屋根に自分の名前や願い事が書かれて何十年も残るのですから、ご利益は期待できそうですね。


お寺であれば檀家さんから寄付を募って改修工事ができます。檀家制度のない小さな神社は予算的にも厳しい面があるそうです。


日本の神社という文化を守るためにも「銅板の奉公」などで貢献していきたいですね。