神社とお寺の明確な違い

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投稿者:わたしが都知事

神社とお寺の明確な違い

日本で生まれ、日本で育った皆さんは、神社やお寺には日頃から馴染みがあるかと思います。

正月に神社やお寺へ初詣に行くという習慣がある方も多いのではないでしょうか。しかし、あなたは次の質問に答えることができますか。


「神社とお寺の違いは何ですか?」


おそらくほとんどの方は、この質問に答える事ができないと思います。なぜなら、日本人は神社やお寺に馴染みがあるものの、その多くが無宗教で、習慣的に参拝している場合が多いためです。そこで今日は、日本古代の歴史に精通している私が、神社やお寺に興味がある方に向けて、2つの明確な違いについて解説致します。

神社とは何か

神社とは、神道という宗教の施設です。日本全国で8万以上の神社が存在しています。神道は、自然現象に神が宿ると考える日本独自の宗教です。起源は縄文時代で、稲作及び農耕における自然の恵みや、大雨及び干ばつなどの自然災害は神々の意向による現象だと捉え、その崇拝対象として神社が建設されました。神道の神々は、山の神、風の神、海の神といったような自然現象に関する神々を始め、衣食住や国土開拓の神々など様々な種類の神々が存在し、その数の多さから「八百万の神々」と呼ばれています。中でも天皇の祖先神とされる「天照大神」が最高峰の神とされており、現代でも天皇が国の象徴として存在するのは、天皇が天照大神の末裔であると考えられているためです。こういった背景から、神社へ参拝する目的は、日頃の感謝を神々へ伝える事とされています。正月に初詣に行く際、何となく自身の願い事をするのが習慣になっている方が多いかと思いますが、その対象は「神道の神々」であるという事を覚えておきましょう。具体的な神々の存在を意識すれば、今まで以上にご利益を得ることができるかもしれません。また、神道の信仰が形になったものが祭りとされています。祭りは夏の一大イベントとして認識しているだけかもしれませんが、実は神道が由来になっています。現代における祭りは、屋台の食事や出し物、花火などを楽しむものとされています。しかし、元々は稲作において、春には豊作を祈り、夏には大雨や干ばつなどの災害が起きないように、そして秋には無事に作物を収穫できる事の感謝を示すための行事でした。

神社の種類


神社は「社号」と呼ばれる各神社に付けられる格式を決める称号によって、種類が分かれます。社号には「大神宮」「神宮」「宮」「大社」「神社」「社」などがあり、それぞれの神社が祀っている対象の神々や歴史などによって区別されます。

大神宮


大神宮とは、現在では東京大神宮だけに使用される格式高い社号です。大神宮は社号の中でも最上級の特別な格です。神道において、日本人の祖先とされている「天照大神」が祀られているのは伊勢神宮です。伊勢神宮への参拝がブームになった江戸時代に、伊勢への長旅ができない人も近場で”お伊勢さま参り”ができるように、遥拝殿が建設されるようになりました。東京大神宮は伊勢神宮の遥拝殿であるため、最も格式高い大神宮の社号が与えられています。東京大神宮は近年、東京の有名パワースポット、縁結びの神社として注目されています。伊勢神宮が祀る天照大神だけでなく、万物の結びのはたらきを司る造化の三神が共に祀られているため、縁結びに関してご利益があると言われるようになりました。また、現代において、神社で結婚式を行う風景はよく見受けられますが、その神前結婚式は東京大神宮が起源となっています。そういった背景もあり、縁結びの神社としての評判が高いようです。

神宮


神宮とは、皇室の祖先とされる神々や天皇自身を神として祀る神社に使用される社号です。現在では伊勢神宮を始め、日本全国に20~30社程存在します。独自に神宮を名乗る事も可能ですが、基本的には特別な由緒ある神社のみが神宮という社号を使用しています。神宮の中でも代表的な存在である伊勢神宮には、日本人の祖先とされる天照大神を祀る「皇大神宮」、衣食住を始め産業の守り神である豊受大御神を祀る「豊受大神宮」を始めとして、14所の別宮、43所の摂社、24所の末社、42所の所管社があります。これら125の宮社全ての総称が伊勢神宮です。社殿はヒノキの素木が輝かしい日本古来の建築様式「唯一神明造」が採用されており、ドイツの建築家ブルーノ・タウトは「伊勢は世界建築の王座である」といったコメントを残しています。


宮とは、神宮の次に格式高い社号であり、天皇や皇族に関わりのある人物が祀られている神社に使用されています。また、歴史上の重要人物を祀った神社にも使用されます。江戸幕府の初代将軍である徳川家康を祀った「東照宮」や、学問の神様と言われる菅原道真を祀った「天満宮」などが有名です。

大社


大社とは、比較的規模が大きい神社に使用される社号で、元々は出雲大社のみに使用されていました。大社も格式高い社号として考えられています。

神社


神社とは、最も一般的な神社の社号で、実は「神社」も社号の一つです。


社とは、最も規模が小さい神社に使用される社号です。

お寺とは何か

お寺とは、仏教という宗教の施設です。日本全国で7万以上のお寺が存在しています。仏教は釈迦(仏陀)を開祖とするインドの宗教です。日本には約1500年前の飛鳥時代に伝来したと言われています。仏教の教えは、”人生は思い通りにならない”という意味の「一切皆苦」が基本です。その苦しみが生まれる原因は、”全ては移り変わるもの”「諸行無常」であり、”全ては繋がりの中で変化している”「諸法無我」という真理にあると考えられています。苦しみがなくならない世の中において、修行を積み重ね悟りを開き、煩悩を消し去って安らかな心を持って生きること、つまり「涅槃寂静」を目指すことが大切だと釈迦(仏陀)は説いています。崇拝対象は仏様で、「如来」「菩薩」「明王」「天部」「垂迹」の5種類があります。仏教には元々、何かを信仰するという考え方はありませんでしたが、より分かりやすい宗教にするために、開祖である釈迦(仏陀)を始めとした仏様を信仰することになったようです。お寺にある建物は、仏像を祀る「伽藍」と僧が居住する「僧房」の2つに分かれます。お寺は、本来は僧が修行を行うための場所でしたが、釈迦(仏陀)の影響力が強くなるにつれて、仏塔などが作られるようになりました。日本において、初期の頃にお寺を多数作ったのは、蘇我一族と言われています。日本最古のお寺は大阪にある四天王寺とされていますが、四天王寺を建設したのは、蘇我一族である聖徳太子です。

お寺の種類


お寺は「山号」「院号」「寺号」のように、場所によって呼称が異なります。例えば「三縁山広度院増上寺」といったようなものがあります。正式名称は長くて呼ぶのが大変なため、一部を取って通称名で呼ばれる事が多いです。「山号」「院号」「寺号」は全てのお寺にあるわけではなく、山号と寺号だけ、院号と寺号だけのようなお寺も存在します。

山号


山号は、鎌倉時代に禅宗が広まってから普及した名称です。主に禅宗のお寺で使われ始め、その後他の宗派でも使用されるようになりました。山という名称から、山で創建されたものだとイメージするかもしれませんが、必ずしもそうではなく、地名ではない仏教用語を用いる場合があります。勿論、山号はそのお寺がある山の名前を指していることも多いです。また、お寺は基本的に「寺」が呼称として使用されますが、高野山のように山号が一般的な呼称として使用されることもあります。

院号


院号は、寺号と同等の号とされています。この「院」には2つの由来があるとされています。一つは、塀で囲まれた建物を指す昔の言葉で、寺の広い境内の中にある特定の囲まれたエリアを指していました。もう一つは女院や上皇などに付けられた名称で、高い身分の皇族が入った門跡寺院に付けられました。院号は様々な使い方が混在していますが、寺号の次に多いようです。一般的には、お寺の中の僧侶が住む建物を指します。

寺号

寺号は、3つの中でも最も多いとされています。「寺」は、元々日本では僧侶が住む建物のことを指していましたが、飛鳥時代には中国語由来で役所という意味で使用されていました。寺と書いて「じ」と読むお寺と「でら」と読むお寺があります。どちらも間違いではありません。


この3つの号が使い分けられるようになった背景には、中国の国土が広く、同じ寺号の寺が多いため、それらを区別するという目的があったようです。


神社とお寺の共通点と相違点


神社とお寺には共通点と相違点があります。似ている部分もありますが、異なる施設です。

共通点

神社とお寺の共通点としては、御朱印、初詣、厄除け、お賽銭などがあります。


御朱印とは、神社やお寺において、参拝者が押印される印章のことです。

押印の他に、日付、神社・お寺の名前などが記載される場合が多いです。

御朱印をもらう帳面を御朱印帳と呼び、御朱印は参拝の印とされています。神社とお寺のどちらにおいても、参拝という行為が大切であり、その証として御朱印を貰うという部分が同じです。


初詣とは、新年の始まりに神社やお寺を参拝するという、現代の日本ではお馴染みの行事です。

初詣の目的は、旧年の感謝を捧げると同時に、新年が良い年になるように神様に願い事をする事です。

お願いする神々の種類は違えど、行為と目的は共通しています。日本人であれば、正月に神社やお寺に行って、お守りを買ったり願い事をした経験が一度はあるかと思います。


厄除けとは、邪気や災いが寄ってこないように祈願をしてもらう事です。神社でもお寺でも、厄年の人が行う行為です。

お賽銭とは、お賽銭箱に金銭でお供えする事です。お金を投げ入れて、お願い事をするというのは見慣れた光景だと思います。これも、神社でもお寺でも行います。

相違点

神社とお寺の相違点としては、宗教、崇拝対象、教義の有無などがあります。宗教の違いについては、神社は神道、お寺は仏教となっています。それぞれの発祥地も異なり、神道は日本、仏教はインドです。崇拝対象の違いについては、神社における神道は八百万の神や偉人、お寺における仏教は釈迦(仏陀)となっています。教義の有無については、神社における神道には教義がありませんが、お寺における仏教には教義が存在します。

まとめ


今日は、神社やお寺に興味のある方に向けて、それぞれの歴史について触れながら、神社とお寺の明確な違いについて解説致しました。この記事を読んで、神社やお寺の知識を増やし、より一層興味を深めていただければ幸いです。